極限脱出　9時間9人9の部屋のゲームプレイです。

このテーマでのブログの書き方は少し失敗しました気がします…。今更なんですけどね。

さて気を取り直して先に行きましょう。

【9年後】



セブン：「茜…！？」

[8回]

八代：「なんなのよ、茜って…。」


セブンと八代は、困惑の表情を浮かべて顔を見合わせている。

四葉とニルスは何かを察したようだった。

俺は集中をするために、4人のもとを離れ、広いドームの片隅へと向かった。




淳平：「茜！聞こえるか、茜！聞こえたら返事をしてくれ！………くそっ！邪魔がはいったせいで交信が途絶えてしまったのか。さっきは確かに聞こえたのに…茜の声が…。」


焦燥感にかられる。もう一度叫ぶ！


淳平：「茜！答えてくれ！」


【9年前】



私はとっさに振り向いた。声が聞こえたのだ。彼の声が…。あまりにも鮮明に…。すぐそばにいるような気がして…。




茜：「淳平くん！」


私はもう一度叫んだ。魂を絞り出すように烈々と…。

すると答えはすぐに帰ってきた。


【9年後】

淳平：「茜！」


【9年前】

茜：「淳平くん！」


これでサンタの目論見の半分は達成されました。現在危機的状況にあっている淳平と、9年前の危機的状況にあった茜の交信が再開されたのです。そして今2人は時空軸は違えど、同じ場所、同じ困難に立ち向かっています。


俺達は何度もお互いの名を呼びあった。まるで二人の存在を確かめあうように…。


【9年後】

淳平：「茜！もしかして今焼却炉にいるんじゃないか！？」

茜(9年前)：「はい！でも……どうしてわかったんですか！？」


淳平はサンタの残した言葉から察した。




サンタ：「たったひとつだけ……あるんだ。亡くなった妹を…茜を助ける方法が……。」


だとすると…。


放送：「Incineration will start in ... 7 minutes.」

茜(9年前)：「淳平くん！とにかく時間がないんです！本郷に出題されたパズルがあるんですけど、これを解かないと…！」

淳平：「わかった。」


それは茜に対する返事というよりかは、俺自身の心からこぼれた呻きに近かった。


ああ、そうか、そういうことだったのか…。
俺はここにきて、ようやく気付いたのだ。
今回のこのノナリーゲームが、なぜ行われたのか…？
どうして俺達は、こんなところに拉致されてきたのか…？
すべてはここへと至るために…。
今、この瞬間、この時へとたどりつくために、画策されたものだったのだ。
ああ、なんてことだ……。
なんてことだ……。
頭が混乱の極地へと達する。
しかし考えられうる可能性はひとつしかない。



…紫は。



…ゼロは。



…倉式茜は。

今から9年前に垣間見た未来の歴史を再現することによって、9年前の自分自身を救おうとしたのだ。
いや、今まさに救おうとしているのだ！
ならば、俺は今なすべき事はひとつしかない。
たとえそれが知略に満ちたはかりごとだったとしても、
俺は、彼女を救わずにいられない！！！


放送：「Incineration will start in ... 7 minutes.」

茜(9年前)：「淳平くん…？」

淳平：「わかってる…大丈夫さ…。必ず助けてやるよ。待っていてくれ。」

茜(9年前)：「はい…。」


涙声だった。胸の底が燃えるようだった。
6分も待たずに私の心は、彼への想いに焼き尽くされてしまいそうだった。

俺は再度モニターの前へと躍り出た。


八代：「ちょ、ちょっとなによ…！」

淳平：「俺に任せてくれ。」


指の関節をポキポキと鳴らし、画面に浮かんだ数字の群れを睨みつけた。


淳平：「よし！やってやろうじゃねぇか！俺自身の力で！【自分だけの力】で！！こいつを解いてみせる！」




パズルを解くと、数式が浮かび上がります。




淳平：「うしっ！解けたぜ！茜！どうだ！？伝わったか！？」

茜(9年前)：「はい！私の方も解けました！っていうか解いてくれたのは淳平くんですけど…。私はただそれをなぞっただけで…。あとはエンターキーを押すだけです！」

淳平：「なにをしてんだ！だったら早く押すんだ！」

茜(9年前)：「はい！わかりました！」


エンターキーを押すと焼却システムは解除され、武骨なマシンは再び床の下へと下がっていきます。


茜(9年前)：「淳平くん！成功です！止まりました！自動焼却システムが停止したんです！」


胸の中は、ただただ彼に対する感謝の気持ちでいっぱいだった。


淳平：「ふぅーっ…。よかった…。あっちは間にあったみたいだな。」


しかし感慨に浸っている場合ではない。


淳平：「茜！アクセスをいったん切るぞ！こっちはこっちで立てこんでいるんでな！」

茜(9年前)：「あ、はいわかりました。」

淳平：「さてと…。」


つぶやいて視線を落とすと、そこにはセブンと八代の姿があった。


セブン：「淳平…おまえ…。」

八代：「大丈夫…？」

淳平：「ふっ…うるせえよ。」


そういいながらマシンのエンターキーを押す。

しかし…。


放送：「Incineration will start in ... 90 seconds.」

淳平：「何だと！？」



ニルス：「どうやら…止まらないみたいだね…。」

放送：「Incineration will start in ... 60 seconds.」


そのときだった…。俺はふと気が付いた。

そう、パズルの下に表示された不可解な数式…！

ニルス・四葉・俺・セブン・八代…！！！


淳平：「もしかしてあの扉は【9】じゃなくて…！」

ゼロ：「脱出するための出口は船内のどこかに隠されている。探したまえ…【キュウ】と書かれた扉がそれだ。」

放送：「Incineration will start in ... 30 seconds.」

淳平：「急げ！あの扉へ向かうんだ！走れ！REDに認証するんだ！全員で！」

放送：「Incineration will start in ... 10 seconds.」


カウントダウンよりも、認証してレバーを下げる方が先だった。

REDは認証し、その重々しい扉を開けたのだった。

扉をくぐりぬけた後、DEADを探す。幸いそれはすぐに見つかり、全員は認証を済ませた。


セブン：「どうにか…切り抜けた、みてえだな…。ははははは…。」


四葉と八代は力をなくして、へなへなとその場に座り込んだ。

ニルスは天を仰いで、首を振っている。

俺は壁に背中を合わせて、大きなため息をついた。


【9年前】

ふと、フロアの片隅に目を向ける。

するとそこには本郷が投げ捨てたふたつのバングルが転がっていた。

私は自分のバングルをREDに認証させ、【9】の扉を開いた。その向こうには兄の姿があった。


葵：「茜！！！」

茜：「お兄ちゃん！！！」




少し抱き合った後、私はDEAD認証を行った。

ふと振り返ると、そこには9年後に【セブン】と呼ばれることになる巨漢の刑事と、同じく【ニルス】と呼ばれる事になる盲目の少年がいた。

彼らは突如姿を現した私の姿に驚きを禁じ得ない様子だった。


葵：「とにかく行こう！本郷の奴が追ってくるかもしれない！」


私達はシャフトへと駆けだした。



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