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ゲームプレイ日記を書きつつ、皆様のご機嫌をうかがったり、自己満足に浸ったりするというコンセプト。更新をやめて放置プレイ中。
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あーそういえば五輪中なんですよね。

採点競技が多いのでイマイチ盛り上がれないのは私だけでしょうか。

そういう意味では冬は少し不遇だと思います。


「厄痛 ~呪いのゲーム~」のゲームの続きをプレイします。



スミレ編の続きをプレイしていきます。



■ スミレ編 第8話 「電話」

私は全てのものに別れを告げようと、自分の部屋を整理する。

短い間だったけど、なじんだ部屋には様々な生活のにおいが染みついている。なるべく思い出を作らないつもりでいたけど、それでも部屋を見渡せば色々な想いにかられてしまう…。



なによりも、この写真…。

私はいわばこの思い出だけにすがって生きてきたのかもしれない。シェンコの影と思い出だけで今日まで生きながらえてきただけなのかもしれない。いまのいままで過去に縛られながら…。

でも、それももう終わり…私はシェンコのところへ行くのだから…。

私は灰皿に写真をのせると、それに迷わず火をつけた。写真は白い煙をあげて、またたく間にみすぼらしい灰になっていく…。

拍手[8回]


その燃えるさまを見届けたのち、私は部屋の明かりを消す。

広がる闇は、まるで私を包み込むように迎えてくれる。この闇の向こうには、きっと光り輝く世界がある…。

私は静かに瞳を閉じた…。

でもそのとき…。



そのとき闇を切り裂くように電話のベルが鳴り響いた。

私は物憂げに眼を開く。

夜のこんな遅い時間に電話など、私にとっては実にめずらしいことだった。

私はただ黙って、けたたましく鳴り続ける電話を見つめる。いまさら誰かと話をする気分でもなかったが、私にはその電話がとても不吉な前兆のように思われてならなかった。

私は震える手で、受話器をとる、聞こえてくるのは、苦しげな、苦痛を訴えるうめき声だった。




「…もしもし?」


私はただならぬ予感を禁じ得なかった。受話器の向こうから響く声は途切れ途切れで、いまにも消え入りそうだった。そして私はその声に聞き覚えがあった。


「ス、スミレさんか…」

「コウジさん!?」


苦しみのうめき声は他でもない、コウジさんのものだった。受話器の向こうから苦しげな声が響いて来る。


「コウジさん?いったいどうしたんです?」

「…すまん、スミレさん…まさか、こんなことになるとは…」

「何があったんですか?コウジさん!!」

「すまない…すまない…スミレさん…」


耳をすませると、コウジさんのほかに、誰かが受話器の向こう側にいるのが分かった。


「久しぶりだな、スミレ」


そのとき、コウジさんに代わってひとりの男が電話をとる。その声にも私は聞き覚えがあった。

いいえ、忘れることなどできるわけがない。

その声の主は…




コ、コウゾウさん…!?


私は絶望的な気持ちになった。

なぜ、いまこのときになって、彼は私の前に現れたのだろう。この数年間、彼を忘れる事だけを考えていたのに…。

なぜ彼は私を自由にはしてくれないのか。

いいえ、なぜこんな時に、なぜこの間際に、私はコウゾウさんと巡り合ったのだろう。もし運命というものが存在するとしたら、私はそれを呪わずにはいられなかった。

なぜ私が彼の元から逃げ、隠れ、身を潜めて生き続けてきたのか。

決心が揺らぐことが分かっていたから、私はこの数年間、身を隠していたというのに…。

それがこのような形で裏切られるとは…。


「まさか、こんな近くに隠れているとは思わなかったよ。コウジとおまえに、俺はこの数年間、だまされ続けていたというわけだ」


口調こそ穏やかではあるが、言葉のはしばしには、抑えきれぬ怒りがにじみ出しているのがわかる。結果的にそうなったとはいえ、コウゾウさんをだますつもりはわたしにはなかった。私はコウゾウさんに逆らえない自分が恐ろしかっただけなのだ。だからあえて、身を隠し続けていた。

でも、これがこのような形で巡り合うなんて…。

私は自分の中に、もうひとりの自分が目を覚ますのをはっきりと感じていた。

コウゾウさんに逆らえない私…。

それを彼に対する愛というひとことで片付けるとことは、私にはできなかった。

彼には逆らえない…。

だから、だから私は、ここを消してまで隠れ続けていたのに…。


「コ、コウゾウさん…」


私の声はしらず震える。私は揺り動かされる心をおさえることができない。忘れようと努めていた彼とのなつかしい思い出が奔流となって脳裏によみがえる。

いましがた死を覚悟していた私の決意は、足元から音を立てて崩れ去った。コウゾウさんの声を聞けたことのうれしさと、虜になって自らの自由を奪われる恐ろしさとが重なって、私の目から涙があふれた。


「スミレ、お前は俺に逆らった。本来ならば許すことはできんが、一度だけチャンスをやろう。3日待ってやる。ツブレビルに来い。それがお前に許された、たった一つの道だ。分かってるな、もし、お前が来なければどうなるか…」


その瞬間、受話器の向こうから悲鳴が聞こえた。それはコウジさんのものだった。私は声を限りに叫んだけど、そのときはすでに電話は一方的にきられていた。私の耳には、むなしい沈黙だけが残された…。

部屋の中で私は、ひとり、崩れるように倒れ伏した。私は自分にのしかかる運命の重さに押しつぶされそうだった。

もし私が彼の言葉に背き、ツブレビルに行かなかったとしたら、コウゾウさんは間違いなくコウジさんを手にかけるだろう。

彼はそういう人だ…。

でも、行けば私は間違いなく昔のような束縛の生活に戻ってしまう…。

いいえ、罪を繰り返すだけの本当の怪物になってしまうかもしれない。

しかし、私はコウゾウさんの言葉に逆らえない。



私の中に彼の言葉をよろこんで受け入れる別の私がいるのだ。

彼と直接話をしたら、私はなにを命じても盲目的に従うに違いない。

それでも私はツブレビルに行かねばならないのだろうか…。


A.コウゾウの言葉に従う
B.この悲劇に終止符を打つ
  → 選択 B


…やっぱり同じことを何度も繰り返すわけにはいかない。

私は新たな決意を胸に立ち上がった。

私はツブレビルに行こうと思う。でも、それはコウゾウさんの言葉に従ってのことではない。私が逃げ出した過去の清算をしようと思ったからだ。

あのとき私はコウゾウさんから逃げるしかなかった。逃げることですべてが解決されると思っていた。

でも、それが間違いであったと、今改めて知った。

そう、だめなのだ。逃げてばかりではダメなのだ。

過去から逃げること、そんなことができないことくらい、私は始めから分かっていたのかもしれない。

ただ、私はそのことに目をつぶっていただけなのかもしれない。


「もう、悲しい思いはたくさん…」


私はゆっくりと立ち上がると、新たな決意を胸に、部屋を後にした。

行く先は、ツブレビル。

長い苦しみに終止符をうつために、私は深夜の街中を急いだ。



スミレがツブレビルに居た理由がここで明らかになりました。

やはりコウゾウとの因縁があったんですね。それもしかも深そうです。

それにしても、スミレとコウゾウの関係は、エロゲー的展開なんですが、全くときめかないのがこのゲームの不思議なところですね。

やっぱキャラデザって大事なんですかねぇ(笑)


覚悟を決めたスミレさんを見て、不意に天膳思い出した。




まこと地獄と申すものがあるならば、死してこの世に(怪物として)生まれ落ち有余年、このスミレが住もうておる狭間の世こそまさに地獄なり。


書き起こしてみると、このセリフはもう少し後にしっくりきそうな感じかな。


さて、ツブレビルでの展開はみすず編で既に明らかになっていますが、スミレ視点で追いかけてみることにしましょう。

怪物になってからの描写ってどうなるんでしょうかね。



【今日も迷宮を往く 厄痛 ~呪いのゲーム~】

次の記事 : 厄痛 ~呪いのゲーム~ でエコに目覚める 「スミレ編 その5」
前の記事 : 厄痛 ~呪いのゲーム~ でエコに目覚める 「スミレ編 その3」
初回記事 : 厄痛 ~呪いのゲーム~ でエコに目覚める 「序編」

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